風景、夜景撮影には必需品と言われる三脚。
最近、自分の周りでは「安い三脚から卒業したい!」という感じで三脚を新調する人が増えてきました。
三脚を新調するにあたっての悩みとして、特に多く聞こえるのが以下の内容です
・本格的な三脚を購入したいけれども、どのメーカーのものを買えばいいかわからない
・三脚も色々な部品があって考えることが多すぎる
・ていうかアルカスイスって何?
自分も三脚を新調して2年経ちましたが、購入の際、これらのテーマで悩まされました。
写真を始めたての時は1万円しないくらいの安い三脚を手にしてたのですが、使用していくうちに色々と不満が出てきます。
そうして出てくるのが「しっかりした三脚を購入したい」という考え。
特に新調するにあたって「ブレない堅牢性のある三脚が欲しい」と考えるようになるのですが、どこの部品をどのような種類のものを購入すればいいかわからなかったりします。
ですが三脚の構造を整理して理解しておく事で、どこにリソースを割けばいいかわかってきます。
そういった意味で、三脚を購入するにあたっての手助けになれるような記事を今回書いてみたいと思います。
格安三脚から卒要したい、良い三脚を手に入れたい人向けの記事となります。お付き合い頂ければと思いますm(_ _)m
まずは三脚購入の際、考えるべき部品について整理していきます。
三脚の部品は大きく分けると3箇所
①三脚(本体)
まず1つ目は三脚本体です。三脚本体を購入の際考えるのは以下3つです
1.三脚本体の耐荷重量
2.足の太さ
3.材質
についてです。これらについて整理していきます。
1.三脚本体の耐荷重量について
耐荷重量はその名の通り、数値が多ければ多いほど、機材を乗っけることが可能です。
理想は軽くて耐荷重ある三脚でしょうか。しかし軽さと耐荷重は持ちず持たれずな関係があるため、自分がどちらを優先するか判断する必要があります。
一般的に理想の耐荷重量については「使用するカメラとレンズをあわせた重量の“2倍”」と言われています。
規定どおりの積載重量でも、レンズやボディの構成次第では揺れやすく、不安定になりがちだと言われています。特に望遠撮影時はよりブレやすくなるので積載重量には余裕を持たせておくべきです。
2.足の太さについて
一般的に三脚の脚が太くなるほど、三脚は安定し、より重い機材を載せられます。一般的な基準として以下の基準で選ぶと良いと言われてるのと、経験上踏まえて追記してみました。
・ミラーレス一眼カメラとズームキットレンズ(1kg~1.5kgの構成)
→パイプ径が20~25mm
・デジタル一眼レフカメラと焦点距離200mmまでの望遠ズーム(1.5kg~3kgの構成)
→パイプ径が25~30mm
・デジタル一眼レフカメラと焦点距離200mmを超えるレンズ(3kg以上の構成)
→パイプ径30mm以上
3.材質について
三脚の材質についてですが、主にアルミ製、カーボン製の2つになります。
カーボン製のメリットを並べると以下になります。
・ アルミ三脚に比べ、20%から30%軽量化できる。(比較は同クラスのパイプ径を持つアルミ三脚)
・ 振動減衰性に優れている(重量の割にブレが伝わりにくい)
・ 寒い場所でパイプに触れても冷たくない
アルミ製の三脚を基準にして考えると、カーボン製は軽くて安定してるという位置付けになります。
以上3つの点が三脚本体を購入するポイントとなります。
ざっくりまとめると軽さを重視したいならカーボン、コスパを重視したいならアルミという結論にたどり着くかと思われます。後は機材構成に合わせて足の太さや耐荷重量を探していくという流れになるでしょう。
②雲台
1.自由雲台
次は雲台についてです。雲台は大きく2種類のタイプに分かれてきます。
自由雲台はその名の通り自由に動くため構図がスピーディに決めやすいです。しかし幅広い方角に動くため、細かな微調整等の動きは苦手です。
具体的な撮影シーンで説明すると、構図で水平が取れてないから少しだけ右上がりに雲台を調整するとガックンと大きく動いてしまう的な場面です。色々な方角に動いてしまう分、細かな動きが苦手なわけです。
ただ、最近発売されている高価な雲台になってくると違ってきます。
「自由に動くけど微調整もそれなりに動ける自由雲台」
なのが発売されてます。そういった背景もあり、自由雲台派が多いのも現実だったりします。
2.ギア雲台
別名3Way雲台。3つの方向を軸に調整が可能です。決まった動きを行うため微調整等の動きは得意。
特にギア雲台の細かな動きは風景写真家の人たちにはウケが良いみたいで、個人的には興味のある雲台だったりします。ただギア雲台は自由雲台に比べ大きいため、持ち運びを考えると自由雲台に分があります。
また自由雲台と違って動きが限られているため、スピーディな構図を決めにくい欠点があります。
時間に追われること無く、じっくり被写体と向き合って構図を決めて・・・的な撮影に向いてるのがギア雲台の大きな特徴だったりします。
以上が雲台の種類と特徴です。自分の撮影スタイルに合わせて雲台は選んでく必要があります。
③クイックシュー(プレート)
カメラと三脚の接続をスピーディーにする部品が存在します。
それがこのクイックシュー(プレート)の存在です。
クイックシュー(プレート)を予めカメラに装着することで、三脚とカメラの接続がスムーズになります。
また縦構図で三脚を固定する場合、普通のクイックシューだと雲台に依存してしまいます。
しかしそれを脱却出来るアイテムがこのLプレートの存在です。
Lプレートをカメラに装着することで難なく三脚での縦構図が行えます。かく言う自分もバッテリグリップ込でのLプレートを装着しています。
購入してから4年程愛用していますが、ストレスを感じること無く利用できているため今では手放せないアイテムの一つになっています。
以上、三脚を新調する際に検討すべきアイテムについて整理してみました。
次は堅牢な三脚を購入する場合、避けては通れないアルカスイス規格についての説明に続きます。
アルカスイスのすゝめ
雲台・プレートの規格は多種多様であるということ
世の中にはたくさんの雲台が存在しています。
特に初めての雲台選びでは一つずつ、性能と価格を比べながら選ぶかもしれません。しかし、気をつけないといけない点があります。それは雲台とプレートの規格が統一されていないという点です。
例として「ベルボン」の三脚と雲台を購入したとします。しばらくしてから細かい構図の調整に便利そうな「マンフロット」のギア雲台を購入したとします。この二つの雲台を使う場合、ひとつの雲台を使った後もうひとつ雲台を使おうとするといちいちカメラに付けたプレートを付け替えないといけません。
じゃあメーカーで統一すれば問題ないか?と言われるとそうではありません。例に挙げたベルボンもマンフロットも自社の製品のなかで複数の規格の雲台やプレートを作っています。
メーカーでも複数の種類の規格の存在するわけですが、メーカーを始め、統一した規格は存在しないのか?と思われるかもしれません。そこで出てくるのが「アルカスイス規格」です。
数あるメーカーが作成する雲台のなかで例外的に高い互換性を持つのがアルカスイス規格の雲台とクイックシュー(プレート)なのです。
アルカスイス規格について
アルカスイスとは雲台を作っている会社の名称です。高級な雲台を作っている企業で、アルカスイスの雲台はその固定力・安定性を世界的に評価されています。
それをきっかけに他の雲台メーカーもこれを真似してアルカスイスと同じような機構の雲台を作るようになりました。その結果、他社の作った雲台とプレートでもアルカスイス式の機構であれば互換するようになりました。
有名所だとRRS(リアリーライトスタッフ)やマーキンス、LeoPhotoといったブランドをはじめ、様々なメーカーがアルカスイス互換の雲台とプレートを製造・販売しています。
ただ、あくまでもアルカスイス規格と互換性があるという話です。正確な削りの深さなどはメーカー毎に違ってきますので、サイズの正確性を求められるレバータイプの雲台等使うときには気をつける必要があります。
アルカスイス規格のメリット
安心感ある固定力
アルカスイス規格の雲台の固定力は今現在出回ってるものの中で最高峰の作りです。
他メーカーがこぞってアルカスイス互換の規格を作るほどですから、様々な雲台があるなかでアルカスイス社のつくる雲台は世界トップレベルの固定力として認識されています。
アルカスイス規格の固定力の素晴らしさについては他のブロガーの方々が詳しく綴っているため、本記事ではサラッと流します笑
互換性の高さ
色々なメーカーが作成しているアルカスイス規格。
アルカスイスで雲台やプレートを統一することで複数の雲台を快適に使えるようになります。最初に指摘した互換性の問題を解決してくれるということです。クイックシューやプレートを交換していると撮影の効率が悪くなります。互換性があるのはアルカスイスの大きな魅力です。
そして現在、アルカスイスの規格に合わせて素晴らしいカメラ用プレートがたくさん作られています。
上の項目で説明した「Lプレート」。実はこの製品、アルカスイス規格の物がたくさん出回っています。有名所だとRRS(リアリーライトスタッフ)が作成するLプレートはカメラの機種毎に合わせてプレートが作成されてます。
自分はバッテリーグリップと一緒に使っているわけですが、手に馴染むような、精巧されたプレートを長らく愛用しています。このLプレートをつけたいがためにアルカスイス規格に手を出したと言っても過言ではないくらいです\(^o^)/
そういった素敵なプレートがアルカスイス規格の物には出回っているわけです。
堅牢な三脚を購入する場合、避けては通れないアルカスイス規格について説明してみました。三脚を構成する多種多様な部品、これらをどうしていくべきか?という点についてご説明していきたいと思います。
必要な部品を整理して三脚をカスタマイズしていこう
三脚を構成する部品が大きく3つあることを説明しましたが、三脚、雲台、プレート、これらを作っているメーカーはたくさんあります。
三脚・雲台・クイックシュー(プレート)を一貫して作っているところ、三脚だけを作っているところ、雲台に力を入れているところ、多種多様なクイックシュー(プレート)を作っているところ、ホントたくさんあります。
また価格帯もバラバラです。20万近い三脚を作っているところもあれば、2万円で三脚を作っているところもあります。
10万円の雲台を作っているところもあれば2万円の雲台を作っているところもあります。
正直言って価格の差は作りの差になってくるので、どこで折り合いつけるかが鍵となります。
どこにお金を割くか、どこの部品を妥協するか、構成は人それぞれ千差万別です。
自分の所有する三脚の構成はGITZO、マーキンス、RRSに落ち着いた
自分の三脚の構成ですが、以下の構成に落ち着きました
・カーボン三脚本体:GITZO(フランス)・・・9万円くらい
→堅牢性、機動性を重視
・自由雲台:マーキンス(韓国)・・・2万円くらい
→使いやすさ&コスパを重視
・Lプレート(クイックシュー):RRS(アメリカ)・・・2万円くらい
→使いやすさ、堅牢性を重視
知ってる人は知ってる、無難な構成だったりします。特筆する点はLプレートはハイグレードの物を購入したところでしょうか。
自分の場合、α7R2本体にバッテリーグリップを装着しています。そのためクイックシュー(Lプレート)に関しては妥協が出来ませんでした。妥協して通常のプレートを利用してしまうと、「縦グリップがあるのに縦構図で三脚を使うことが出来ない」なんて事が起こりえます。そのため精巧なLプレートを作るRRS(リアリーライトスタッフ)を購入するに至ります。
RRSが日本で有名になる前に購入したので、探して購入するのには苦労しました。日本で代理店が無かったため、輸入です。3年使用しメッキが剥がれてしまってますが、まだまだ使える素敵なLプレートです。
そんなこんなで結果的に三脚は堅牢性、雲台はコスパ重視で揃えて、Lプレートはハイグレードの物という構成に落ち着きました。
部品ごとで見ていくと三脚のカスタマイズは多種多様です。という事を自分の例を軸に説明してみました。
最後に自分がオススメする三脚メーカーについて綴っていきたいと思います。
オススメの三脚メーカーについて
GITZO
GITZOはフランスのカメラ関連製品メーカーです。特に三脚で知られるメーカー。
カメラを趣味にしてる人からしてみたら一度は名前を耳にしたことであろうメーカーです。1917年に創設され、世界初のカーボン製の三脚を製造します。
そんなこんなでブランドの歴史としては大分長いです。力を入れているのは三脚と雲台という印象がこのGITZOにはあります。
【三脚の相場】
8万円〜18万円
【雲台の相場】
4万円〜8万円
【Lプレート】
販売してない
【アルカスイスの適合】
適合製品アリ
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Really Right Stuff(RRS)
Really Right Stuff (リアリー ライト スタッフ)はアメリカの三脚用品メーカーです。
1990年にBryan Geyer(ブライ アン・ガイヤー)が、流通しているカメラプレートの品質に満足できず、さらに高品質な製品を求めて自作のプレートを作り、販売したことから会社は始まったとのこと。
色々なカメラに使いまわせる汎用品ではなく、一眼レフカメラの機種ごとに「Really Right(ぴったり)」な専用プレートを製造しているのもこのメーカーの特徴だったりします。Lプレートへの拘り、完成度は恐らく世界の三脚メーカーでNo1と言えるレベルです。
使いやすさという拘りを追求したようなメーカーですが、欠点は価格が高いということ。予算があるなら購入間違いない三脚ブランドだったりします。
【三脚の相場】
15万円〜20万円
【雲台の相場】
4万円〜9万円
【Lプレート】
1万5千円〜3万5千円
【アルカスイスの適合】
適合製品アリ
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Leofoto
Leofotoは中国の会社が立ち上げた、世界中のプロフェッショナルに向けた高品質の製品を供給し続ける撮影機材のブランドです。
10年以上にわたり、海外で三脚や自由雲台、L型ブラケット、クイックリリースなどシステム三脚として様々な種類の高品質なアクセサリーを供給してきた実績があります。
近年日本での販売に力を入れているらしく、ココ最近デジカメウォッチなどで取り上げられるほど知名度が上がってきました。
メーカーの位置付けとしては可能な限り安く、高性能のものを提供するという感じでしょうか。価格の割には高級路線の三脚メーカーと大差ない品質だというのをよく聞きます。
特に雲台のボールの生産精度は極めて高く、削りだしのみで仕上げているとのこと。その御蔭でグリスのメンテナンスが要らなかったりします。ただ安いだけでなく、新しい技術に日々取り組んでいる姿勢は正に素晴らしいの一言です。
これから本腰いれて三脚を購入する人には是非オススメのブランドだったりします。
【三脚の相場】
3万5千円〜7万5千円
【雲台の相場】
3万円〜5万円
【Lプレート】
1万円
【アルカスイスの適合】
適合製品アリ
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SIRUI(シルイ)
SIRUIは中国にて2001年に創業された会社です。
当初は、長年の製造ノウハウを持つ写真用品メーカーとともに、高品質プロ用三脚や雲台の開発、製造を行ってきたとのこと。そして2006年、自社技術による製品開発、製造を開始し、自社ブランド『SIRUI』を確立しました。
日本国内における販売を2011年に開始。
Leofotoと似ている部分がありますが、コチラのブランドはひたすらコスパが良い三脚です。
ゴムの劣化等、堅牢性では他社メーカーには一歩劣る部分がありますが、それでも撮影には十分耐えうる仕様の製品がこのSIRUIではないでしょうか。
【三脚の相場】
1万円〜6万円
【雲台の相場】
1万円〜1万5千円
【Lプレート】
発売なし
【アルカスイスの適合】
適合製品アリ
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マーキンス (Markins)
Markins(マーキンス)社は、1997年に設立された韓国ソウルに本社を置く自由雲台の専門メーカーです。
何故「雲台に特化したメーカーなのか?」そこには会社誕生のあるきっかけが絡んできます。
マーキンス社の誕生は、設立者である現社長が、同じ機械工学を専門とするカメラマン仲間と共に撮影にでかける中、雲台の故障により撮影できないという状況を何度か経験したことから、トラブルの無い自由雲台を独自に開発しようと仲間たちと意気投合したのがきっかけとなり創設されました。
次第にLプレートなどの生産もするようになりましたが、あくまで雲台メインというスタンスは崩さずです。
メインの製品である雲台の位置づけとしては、RRS、GITZO等のハイブランドから一歩下がった位置づけになります。コスパ良く、かつ堅牢性のある製品といった所です。
いくつかの製品アワードの受賞もしてたりと、品質も一流だったりします。
高い雲台は買いたくないけど、安い雲台も買いたくないって理由ならこのマーキンスがおすすめです。
【三脚の相場】
発売なし
【雲台の相場】
3万5千円〜5万円
【Lプレート】
5千円〜1万5千円
【アルカスイスの適合】
適合製品アリ
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まとめ
しっかりした三脚に新調するにはどうすればいいか?という切り口で三脚購入に関する記事を書いてみました。
自分自身三脚の沼には2年程浸かりましたが、やはり部品毎に考えてコスト計算するのが一番楽でした。
ちなみに予算が許すならばRRS、コスパ重視で行くならLeofoto、格安路線でいくならばSIRUI、というのが自分の結論だったりします。
部品ごとに妥協できる、妥協できないの判断基準を設けるとよりイメージがしやすいかもしれません。
「三脚を構成する部品」「どのように部品を選んでカスタマイズしていくか」「そしてオススメの三脚のブランドのご紹介」と、全体的にボリュームのある記事になってしまいましたが、しっかりした三脚を新調したい人向けへのお手伝いが出来たら良いなぁと思います。
長文ご拝読ありがとうございましたm(_ _)m
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